日銀の黒田東彦総裁は19日に米ミネソタ州で講演し、日本のデフレ心理について「転換しつつあることを示す指標が多く確認できる」と述べた。その理由として春季労使交渉(春闘)で多くの企業でのベースアップ(ベア)実現が見込まれることを挙げ、「最近の労働市場の動きは、20年にわたる日本のデフレが終わりつつあることを示すひとつの証左だ」と指摘した。
消費者物価指数(CPI)の動向については消費増税と生鮮食品の影響を除いた前年比が原油安の影響でゼロ%程度まで低下しているものの、「基調的な物価上昇率が著しく改善したことに疑問の余地はない」と発言した。また、家計を対象とした聞き取り調査を通じ、「家計は将来的に物価は毎年2%上昇するだろうという見方で一致する傾向が強まっている」と指摘。インフレ期待の形成が進んでいるとの認識を示した。