【上海=中村裕】中国広東省で21日スタートした新たな経済活性化につなげるための実験区「自由貿易試験区」(自貿区)内で、6月から並行輸入車の販売が試験的に始まる見通しとなったことが分かった。広東省の当局関係者が明らかにした。
場所は、自貿区内の「南沙地区」(広州市)。同区内の「前海・蛇口地区」(深圳市)でも同様の準備が進んでいる。2月中旬に同じく試行が始まったばかりの上海市の自貿区に続く動きとなる。
世界最大の自動車市場の中国で並行輸入車ビジネスが相次ぎ解禁され、今後、同ビジネスの拡大が期待される。従来、中国では並行輸入車ビジネスは正規には許可されておらず、規制が曖昧なままビジネスを展開する貿易会社も一部にあったという。
並行輸入車ビジネスとは、貿易会社、商社などが自動車メーカーから販売ライセンスを取得せず、独自のルートで海外で新車を仕入れて輸入し、市場で売るビジネスを指す。
自動車メーカーが許可する正規のルートで売られる一般の輸入車に比べ、1~3割程度安い。一方で、故障部品の交換の際、新品の部品が不足していたり、修理に時間がかかるなど、アフタービジネス面で克服すべき課題があると指摘されている。
中国では特に輸入車が高価格で販売されており、当局側は、並行輸入車ビジネスの本格的な解禁で、今後、正規ルートで販売される高価格の輸入車の価格が引き下がり、市場価格の適正化が進むことも期待している。