【ゴルカ=共同】「食料もテントもないままだ」――。ネパール大地震の震源地・中部ゴルカ地区では、地滑りなどで道路が寸断され、孤立した寒村への支援が難航している。
同地区中心部のゴルカは、首都カトマンズから北西に車で約5時間の街。周辺の村々と合わせた行政地区全体の人口は数十万人規模だ。
ゴルカ近郊、ケロンジャ村出身のドルバラジュ・ポラジュリさん(36)は、支援ヘリコプターを4日間待ち続けていた。「早く村に食料を届けたいが、天候が悪くヘリが飛ばない」。村は地震で約700戸が倒壊、16人が死亡した。村人は広場に寝泊まりし、がれきの下から食料を探して食べているという。
ゴルカ地区はマグニチュード(M)7.8を記録した震源地で、これまでに約400人の死亡が確認された。標高1千~2千メートル級の山が連なる村々では、ムギやコメで自給自足する貧しい農民が中心。震災以前から交通網は劣悪で、車が1台通れるかどうかの未舗装道路は余震の土砂崩れでふさがれた。
ボランティアのミラン・クンワルさん(45)は、トラックにテント50張りとコメ2.5トンを積んで山間部に入ったが、村人数十人に囲まれ、荷台はあっという間に空っぽになった。食料が手に入らなかった高齢男性から「私の分は何もないのか」と詰め寄られ、途方に暮れていた。