九州新幹線が脱線した現場では、クレーン車が1台だけ作業にあたっていた=16日午後3時8分、熊本市西区、朝日新聞社ヘリから、白井伸洋撮影
熊本県で14日から続く地震で、九州各地の交通網が寸断された。国土交通省によると、16日午後1時半現在で、完全に孤立した市町村はないが、南阿蘇村の垂玉温泉など2カ所で計68人が孤立状態だとの情報がある。
(タイムライン)熊本地震を時系列で
特集:熊本地震
熊本地震 災害時の生活情報
国交省のまとめでは、道路の通行止めは16日正午現在で、高速道路6区間、国道29区間、県道・政令市道53区間だった。鉄道は、九州新幹線が全面運休を続けているほか、在来線は16日午後2時の時点で、JR豊肥線など6事業者22路線が全線や一部区間で運休。熊本空港はターミナルビルが閉鎖したため、全日本空輸や日本航空などの民間旅客機が全面運休した。大きな余震が続いたことから復旧作業も進んでいない。
16日未明の地震で大きな被害を受けた南阿蘇村では、国道57号と、並行する豊肥線の線路上に土砂が流入。57号と接続する国道325号の阿蘇大橋が流された。熊本空港(熊本県益城町)から阿蘇方面に向かうルートの一つ、県道熊本高森線では、俵山トンネルで覆工コンクリートが崩落した。
熊本市から南阿蘇村役場に向かうには、村の北東を大きく迂回(うかい)することになるが、国交省の担当者は「今後の雨のことも考えると必ずしも安全なルートだと保証できない」と言う。
九州各地で鉄路の運休見合わせも続いている。14日夜に回送列車が脱線した九州新幹線は、復旧のための重機の手配ができず、相次ぐ余震で作業に取りかかるめども立っていない。在来線は、熊本県阿蘇市のJR豊肥線赤水駅近くで回送列車が脱線。脱線した列車(2両編成)が国道57号と交わる踏切上で立ち往生しているため、車も行き来できない。復旧作業は17日昼に開始する予定という。このほか、線路が沈んだり、点検が必要だったりするため、熊本県内の在来線はほぼ運休している。