トヨタ自動車とマツダは13日、環境や安全技術分野を軸に包括提携すると正式発表した。トヨタの燃料電池車(FCV)技術、マツダのガソリンやディーゼルエンジンの高出力・低燃費技術を相互に供与する方向だ。互いに得意な技術やノウハウを持ち寄り効率的な開発を進め、世界で厳しくなる環境規制対応や安全対策などで先手を打つ。自動車大手が資本関係なしで幅広く提携するのは異例だ。
記者会見で握手するトヨタ自動車の豊田社長(左)とマツダの小飼社長(13日午後、東京都港区)
トヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長が同日夜、都内で記者会見して発表した。今後、両社で検討委員会を立ち上げて具体的な提携内容を詰めていく。
例えば環境分野ではトヨタが家庭の電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)、FCVといったエコカーの技術をマツダに供与することなどを想定。マツダは独自の環境技術で定評がある「スカイアクティブ」をトヨタに提供する方向で検討する。共同で技術開発や改良を進め、巨額の投資が必要になるエコカーの開発・製造や自動ブレーキといった先進的な安全技術分野での負担軽減を狙う。
自動車の環境規制強化は世界のトレンドだ。米カリフォルニア州は一定比率以上のエコカー販売を求める対象メーカーを広げる予定。欧州では昨年から新たな排ガス規制が導入された。世界最大市場の中国や新興国でも規制は厳しくなる見込みだ。両社は提携で技術や車種の品ぞろえを補完し、地域ごとの環境対応を強化する。
両社は2010年にトヨタがハイブリッド車(HV)技術をマツダに提供することで合意。12年には、マツダがメキシコ工場から小型車をトヨタに供給することを決めた。トヨタの豊田社長は同日の記者会見で「(従来のような)個別分野ではなく、もう少し中長期的な目線で良いクルマを一緒につくっていくための機が熟した」と述べ、広い分野で協力関係を強める考えを示した。
マツダの小飼社長は「スカイアクティブのレベル向上をトヨタと一緒に進めれば新しい価値を生み出せる」と強調。環境分野などで先行するトヨタの技術を取り込んで競争力を高めたいと説明した。ただ「資本提携は考えていない」(小飼社長)としており、業務提携の枠内で連携効果を高めたい考えだ。