【ワシントン=矢沢俊樹】米議会上院の与野党幹部は13日、通商協定の強力な締結権限を米大統領に委任する貿易促進権限(TPA)法案を巡り、14日中に改めて審議入りの是非を採決することで合意した。前日の審議入り採決はいったん否決していた。
他法案と一体処理を求める与党・民主党の主張に野党・共和党が一部歩み寄り、与野党が折り合ったとみられる。
14日の審議入りを問う採決で規定数である60票の賛成が集まれば、ひとまず法案修正手続きなどの実質的な審議を始められる。ただ、修正の折衝には手間取る可能性があるほか、議会下院ではTPA法案の調整がさらに難航する見込みだ。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉も、米議会でのTPA法案の動向に大きな影響を受ける構図が強まっており、TPPの成り行きにも曲折がありそうだ。
共和重鎮のマコネル上院院内総務は13日の声明で、TPAの仕切り直しに向け「税関と特恵関税の採決を先行し、TPAなどの審議に戻る」と説明した。民主が求める税関の再授権など複数の歳入関連法案をまず通した後、すみやかに本丸のTPAなどに着手する妥協案を示した。
13日の合意により、12日の審議入り採決で反対した民主側からも、14日の採決では一定数が賛成に回る可能性がある。上院を早期に通すことで、厳しい情勢が伝えられる下院で勢いをつけるのがマコネル氏らTPA推進派の狙いとみられる。ただ、下院では共和内部からもTPA法案にまとまった造反がでる恐れがあり、幹部らの思惑通り進むか予断を許さない。