【ワシントン=矢沢俊樹】米議会上院のハッチ財政委員長(野党・共和党)ら超党派議員は18日、環太平洋経済連携協定(TPP)の合意に不可欠な大統領貿易促進権限(TPA)法案を「6月末までに成立させ、大統領のもとに送りたい」とする声明を発表した。TPP合意の機運が後退するのをけん制する狙いだ。
声明を出したのはハッチ氏のほか共和幹部のライアン下院歳入委員長、与党・民主党のワイデン上院財政委筆頭理事。TPA法案の早期成立をめざす超党派メンバーが具体的に法案成立と大統領署名の目標時期を掲げたのは初めて。
声明はベイナー下院議長(共和)、マコネル上院院内総務(共和)と協議したうえで「下院がTPA法案を通した後、直ちに両院の差異をなくし、6月末までに大統領のもとに送ることで合意した」とした。TPAとTPPを巡る反対派の巻き返しが一段と激しくなるなかで、期限を区切って上下両院での修正協議を促す狙いとみられる。
日米などTPP交渉参加の12カ国は16日からグアムで首席交渉官会合を始めている。超党派議員はTPA法案の前進を印象づけ、TPP協議を後押しする思惑がありそうだ。
議会が22日から一時休会に入るのを前に、TPA法案を巡る攻防は一段と激しくなっている。マコネル氏ら上院の共和執行部は休会前に上院本会議での最終投票に踏み切る意向を表明した。通商自由化に抵抗する民主党を中心に審議や投票を阻止する活動も激しさを増しており、審議日程や採決の時期はきわめて流動的だ。
TPA法案の最終投票でなお厳しい情勢が伝えられる下院では、上院の法案を修正する可能性がある。この場合、統一した法案をまとめるため両院協議会での折衝などが必要。3氏が法案を仕上げる時期を「6月末」としたのも一定の調整期間を折り込んだためとみられる。