【重慶=大越匡洋】中国政府は、米ドル、ユーロなどで構成する国際通貨基金(IMF)の準備資産、SDR(特別引き出し権)への人民元の採用に向けて金融改革を加速する姿勢だ。IMFは26日公表した中国経済に関する年次審査報告書で、人民元のSDR入りについて「仮定の問題ではなく、いつ入るかという問題だ」と指摘し、側面支援する構えを示した。
SDRは現在、ドル、ユーロ、英ポンド、日本円で構成しており、外貨不足の国はSDRとドルなどを交換できる。今年は5年ごとに構成通貨を見直す年に当たる。中国政府は人民元の国際通貨としての地位を確立するため、IMFに人民元の採用を働きかけている。
採用条件である「自由に取引できる通貨」に近づけるため、中国人民銀行の周小川総裁は「法令を徹底して整理する」などと、人民元の資本規制を緩和する方針を示す。中国紙は26日、個人に海外投資を認める制度が上海や天津など6都市で近く試行されると報じた。
人民元がSDRに加わればIMFの財務基盤の強化につながるが、米国を中心に人民元のSDR入りに関して「時期尚早」との意見はなお根強い。IMFも今回の報告書で「中国政府は2、3年中に事実上の変動相場制への実現を目指すべきだ」として、経済改革を推進するよう注文した。