中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表した「2020年人民元国際化報告」によると、2019年には、人民元の国境を越えた利用が流れに逆らって急速に増加し、通年の人民元越境決済金額は計19兆6700億元(1元は約15.2円)に上り、前年比24.1%増加した。前年の急増傾向を維持するとともに、越境決済が過去最高を更新した。人民元越境決済は全体としてバランスを保ち、純流入額は3606億元だった。人民元越境決済が同年の人民元・外貨建て越境決済全体に占める割合は38.1%で過去最高となり、前年を5.5ポイント上回った。人民日報が伝えた。
清華大学国家金融研究院国際金融・経済研究センターの鞠建東センター長は、「昨年に人民元越境決済の規模が過去最高を更新したことは、人民元の国際決済機能が増強し続けたことを示す。全体としていえることは、2019年に人民元国際化は安定さの中で進展し、中国の金融改革・開放がさらに進化するのに伴って、グローバル金融市場における人民元の地位が目に見えて上昇し、通貨の国際的機能が絶えず開拓・強化され、新興国際通貨としての市場における魅力をはっきり示したということだ」と述べた。
同報告によれば、19年に人民元は国際通貨基金(IMF)加盟国の保有する準備資産の通貨構成の中で5番目になり、市場シェアは1.95%で、16年に人民元が特別引き出し権(SDR)を構成する通貨バスケットに入った時より0.88ポイント上昇した。グローバル外貨取引における人民元の市場シェアは4.3%で、16年より0.3ポイント上昇した。最新の統計データによれば、主要国の決済通貨の中で人民元は5番目になり、市場シェアは1.76%になった。
また同報告によれば、19年に人民元国際化の歩みは新たなステージに進んだ。決済通貨の機能が絶えず増強し、投融資の通貨としての機能が進化を続け、準備通貨の機能が徐々に顕在化し、計算通貨の機能がさらに進展を遂げ、人民元は世界の通貨システムの中で安定した位置を保ち続けた。
中国人民大学国際通貨研究所の涂永紅副所長は、「今や国際経済金融の局面に重大な変化が生じ、人民元国際化は再び新たな発展の機会に直面している。今や、世界では新型コロナウイルス感染症が蔓延し、グローバル経済が衰退する中、中国は再び自国の強靱さとポテンシャルでグローバル経済に原動力を提供している。このことは国際社会のグローバル経済に対する信頼感を増強するだけでなく、中国と人民元に対する国際社会の信頼感も増強し、人民元国際化の基礎がさらに突き固められた」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年8月18日