自ら運営する低額宿泊所の入居者から生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」で、稼いだ所得を隠し約6100万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた元機械製造会社社長、和合秀典被告(73)に、さいたま地裁は26日、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円(求刑懲役1年6月、罰金2千万円)の判決を言い渡した。
栗原正史裁判長は判決理由で、和合被告が納付すべき所得税の99%超を脱税していたと認定し、「結果は重い。厳しく非難されるべきだ」と指摘。一方、被告が「二度と脱税しない」と述べ反省していることを執行猶予の理由とした。
判決によると、2009年と10年の2年間で、所得が実際には計約1億6900万円あったのに、大半を他人名義の口座に預金するなどして隠し、所得税計約6100万円を免れた。
検察側は、宿泊所に集めた生活困窮者に申請させて得た生活保護費などを、知人や親族名義の複数の口座に隠して脱税し、住宅購入や生活費に充てていたと指摘していた。和合被告は「時間がなく納税が後回しになった」と釈明し、弁護人が執行猶予を求めていた。〔共同〕