【ロンドン=黄田和宏】ギリシャの国民投票の行方を懸念して株安が世界を駆け巡った29日から一夜明け、30日の金融市場はやや落ち着きを取り戻した。市場の混乱はひとまず一服した格好だ。
東京株式市場では日経平均株価が4営業日ぶりに反発した。前日に600円近く下げた反動から個人投資家などが価格の下がった銘柄を買う動きが優勢となった。中国の株式相場が下げ止まったことも買い安心感につながった。日経平均の終値は前日比125円(0.6%)高の2万0235円。前日に相場を揺らしたリスク回避の売りが一巡し、「さらに大きくは下げないとみてトヨタ自動車やKDDIなど主力株を買う動きがあった」(大手証券の売買担当者)という。
欧州市場ではドイツの株価指数DAXが前日の3.6%安に続き、1%強下落した。一時は上昇に転じる場面もあったが、買いは続かなかった。前日に大きく下げた南欧のスペインやイタリアでも売りが先行し、次第にギリシャ情勢を見極めたいとの雰囲気が強まった。もっとも、「ギリシャがユーロ圏を離脱した場合でも、悪影響は欧州債務危機時と比べて限定的」(ABNアムロのニック・コウニス氏)との見方から、売り急ぐ動きは乏しかった。
米ニューヨーク市場ではダウ工業株30種平均が小幅に反発し、世界株安はひとまず一巡した。
債券市場ではギリシャの3年物国債(2017年償還)の利回りが39%台に一段と上昇(価格は下落)した。一方、その他ユーロ圏の国債への波及は限定的で、スペインやイタリアでは10年物国債利回りが朝方に2.4%台に小幅に上昇した後は、ほぼ横ばい圏で推移した。
外国為替市場では、前日のユーロの乱高下が一服した。対ドルでは一時1ユーロ=1.12ドル台と前週末の水準に乗せ、その後も底堅く推移した。