【ブリュッセル=森本学】ギリシャへの金融支援が1日午前0時(日本時間同日午前7時)をもって終了期限を迎え、失効した。ギリシャ政府は期限間際の30日午後になって急きょ、金融支援を2年間延長することや債務再編を求める新提案を提出。ユーロ圏の財務相は30日夜に電話で緊急会合を開いて対応を協議したが、ギリシャ政府の「反緊縮」姿勢は変わっていないとして新提案を退けた。
財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は電話協議後、米CNNテレビのインタビューで新提案を拒んだ理由について「ギリシャ政府の姿勢は変わっていないようだ」と語った。1日午前11時半(日本時間午後6時半)から電話によるユーロ圏財務相会合を再び開き、金融支援の失効後のギリシャの状況を慎重に点検する方針だ。
ギリシャが金融支援の期限切れ直前になって要請してきた新支援策は、ユーロ圏の金融安定網である「欧州安定メカニズム(ESM)」に債務再編を含む2年間の金融支援を求める内容。従来の金融支援では国際通貨基金(IMF)が債権団に加わっているのに対し、新提案はユーロ圏単独での支援を求めた。
ただギリシャ政府はEUなどが従来の金融支援を延長する代わりに求めている緊縮策の受け入れには反対する強硬姿勢はなお崩していない。
ユーロ圏側はギリシャが7月5日の国民投票の結果を受けて緊縮策の受け入れに転じた場合には、新たな金融支援の交渉を進める構えだ。ロイター通信などによると、メルケル独首相は30日、与党議員に対し、5日の国民投票が終わるまではギリシャ政府から新提案があっても議論できないとの考えを示した。