【ワシントン=吉野直也】米国とキューバは国交回復を意味する双方の大使館の再開で合意した。オバマ米大統領が1日午前11時(日本時間2日午前0時)に発表する。キューバ革命後の1961年から断絶していた国交が半世紀あまりを経て正常化する。東西冷戦の「遺物」だった米とキューバの対立解消は、歴史的な転換点となる。
米メディアが6月30日に一斉に報じた。ケリー米国務長官は7月にもキューバの首都ハバナを訪れ、現地の米大使館の開設式典に臨む見通しだ。米国の大使館再開に際しては少なくとも15日前に米政府が議会に通告する必要がある。
キューバ外務省によると、国交回復と大使館再開に関してオバマ氏からキューバのラウル・カストロ国家評議会議長に宛てた親書が1日、両国当局者間で手渡される。
両国は昨年12月に国交正常化交渉を始めると発表。今年1月から5月までワシントンとハバナで断続的に計4回の交渉を重ねた。4月にはパナマでオバマ氏とキューバのカストロ議長が会談した。正常化交渉に弾みがつき、米政府は5月にキューバが求めていたテロ支援国家指定を解除した。
経済制裁は一部緩和されたが、議会が定めたキューバへの輸出規制などはまだ解かれない。人権や自由、民主主義といった問題でも両国の認識には隔たりがある。オバマ氏は国交回復をきっかけにこれらの問題の進展を促す構えだ。
国交正常化は、ある国が戦争状態にあった別の国や、新しく成立した国と相互に国家として承認し合い、大使館を開設するなどして外交関係を築くことだ。戦争時の賠償や領土を巡る争いを解決し、条約や宣言、声明などを出す場合が多い。