北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査の継続を伝えてきたことを受け、拉致被害者の横田めぐみさん(失踪当時13)の母、早紀江さん(79)は3日、川崎市の自宅マンションで取材に応じ「うまくいくと思ったら延期の繰り返し。政府はもっと強く出るべきだ」と訴えた。
政府から直接の連絡はないとした上で「日本の本気度が試されている。はぐらかされたまま決着するのは許せない」と怒りをにじませた。父の滋さん(82)は「早く報告してほしい」と話した。
拉致被害者家族会代表で田口八重子さん(失踪当時22)の兄、飯塚繁雄さん(77)も取材に「政府は分かりましたというだけではなく、理由をきちんと確認してほしい」と述べた。
飯塚さんは「日本の制裁強化などの動きを警戒し、政府の足元を見ているのではないか」と推測。報告書には「全被害者の生存と帰国の期限が記載されていることが重要」と強調した。
有本恵子さん(失踪当時23)の父、明弘さん(87)は「安倍晋三首相が『自分の任期中に助け出す』と言ってくれているから、今年中には何とか前に進むと信じている」と話した。松本京子さん(失踪当時29)の兄、孟さん(68)は「何らかの返事がきたことは半歩前進。政府は働きかけを続けてほしい」と語った。
北朝鮮による拉致の疑いを否定できないとされる特定失踪者、藤田進さん(失踪当時19)の弟、隆司さん(57)は「北朝鮮の常とう手段でまたかという感じだ」と述べた。
拉致被害者家族会と支援組織「救う会」は3日、日本政府に対し「全被害者の一括帰国が実現する見通しがないなら、強力な対北制裁をかけるべきだ」とする声明を連名で発表した。救う会が政府の拉致問題対策本部に提出した。〔共同〕