ギリシャ政府は3日に期日を迎えた円建て債券「ユーロ円債」の約5億円の利払いを予定通り実施した。世界各国の債券決済を行う国際機関が6日、明らかにした。6月末に欧州連合(EU)などの金融支援が失効してから、機関投資家や個人など民間が保有する債券の最初の支払いを乗り越えたことになるが、この先はさらに高額な返済が待ち受ける。
10日は20億ユーロ(約2700億円)の短期国債の返済期日。14日には日本で発行した110億円強の円建て債券「サムライ債」が返済期限になる。
ギリシャの資金繰りは厳しく、EUなどとの再交渉も困難が予想されるため、市場では「返済が滞るのは時間の問題だ」(SMBC日興証券チーフクレジットアナリストの伴豊氏)との見方が多い。民間向け債務の支払いが遅延すれば、格付け会社による債務不履行(デフォルト)認定につながる。
すでに金融機関はギリシャ債の保有を減らしており、デフォルトになっても世界的な金融不安の連鎖を招く可能性は低いとみられている。ただ支援交渉の先行きは不透明感が強いことから、短期的に金融市場が混乱するとの見方も根強い。投資家は警戒感を緩めていない。