御嶽山で行方不明になった山梨県甲斐市の猪岡哲也さん(噴火当時、45)の遺体を発見、収容した岐阜県警機動隊の堀田龍司小隊長(39)が3日、岐阜市内で記者会見を開き「早く家族の元に帰してあげたいと思っていた。一つ責任は果たせたのかなと思う」と語った。
7月31日午後0時20分ごろ、稜線(りょうせん)上の岩陰付近を調べていると、金属探知機が反応。隊員13人が交代で火山灰を掘るとリュックに続き、体育座りのような格好をした猪岡さんを発見した。
「約10カ月間、火山灰と雪の下で待っていたんだな」と熱い気持ちがこみ上げ、体を傷つけないよう手も使って慎重に掘り進めた。遺体を収容後、全員で黙とうし、堀田小隊長は「長い間、お待たせしました」と心の中で語りかけたという。
シューシューという噴気音が聞こえるぐらい火山活動は活発で、噴火の危険と常に隣り合わせだった。昨年秋の捜索では高山病にかかる隊員が続出したが、捜索再開に備え標高約3千メートルの乗鞍岳で訓練を実施したこともあり、今回は体調不良を訴える隊員はいないという。
残る5人の行方不明者の捜索は続く。堀田小隊長は「発見を待っている人たちがいる。できる限りのことを精いっぱいやる」と話していた。〔共同〕