【カイロ=押野真也】エジプトの選挙管理委員会は30日、議会選挙を10月と11月の2度に分けて実施すると発表した。エジプトでは軍がクーデターを起こした2013年7月以降、議会が解散している状態が続く。現政権を巡っては「人権を抑圧している」との批判もあり選挙を経て議会が発足すれば、政権側は「民主化」の総仕上げとして国内外にアピールする狙いがある。
選管の発表によると、投票日(決選投票を除く)は全国を2つのブロックに分けて10月と11月に実施する予定。9月上旬から候補者の正式な登録を受け付けるという。
エジプトでは13年7月に現在のシシ大統領が国防相(当時)としてクーデターを主導し、軍と当時の暫定政権が議会に対して解散を指示したままだ。14年1月の国民投票で承認された新憲法では、新議会は一院制と規定した。
クーデター後、14年6月にシシ氏が選挙を経て大統領に就任した。今回、選管の発表通りに選挙を実施すれば、年内にも新議会が発足する見通しだ。これまで議会が不在であることで現政権への批判が高まっていただけに、選挙によってシシ政権の正統性を主張する絶好の機会となる。
ただ、今月29日には、同政権に批判的なカタールの衛星テレビ、アルジャズィーラの記者に対し、エジプトの裁判所が禁錮刑を言い渡したばかり。今回の議会選では、敵対するイスラム勢力の政治力をそぐため、宗教勢力の政党は認可されない可能性が高い。クーデター後も、議会選はこれまで度々延期されており、今回も予定通り実施されるかは予断を許さない。