埼玉県熊谷市で計6人が死亡した3事件で、県警が関連を調べているペルー人の男(30)を事件前の13日に任意同行していながら、行方をくらまされていたことが16日、明らかになった。県警は「必要な捜査をした」と強調するが、対応に問題なかったか検証が必要となりそうだ。
「消防施設で意味不明なことを言っている」。13日午後1時半ごろ、熊谷署管内の交番に「外国人が片言で何を言っているか分からない」と消防施設から通報があった。
県警によると、男は「ペルーに帰りたい」「神奈川に姉がいる」と話すだけ。熊谷署で通訳の手配を準備中、たばこを吸うために玄関先に連れて行くと、同署前の赤信号を突っ切って走り去った。付き添いは警察官1人だけだったという。
3事件のうち、50代夫婦の刺殺は翌14日に発生、16日には高齢女性が変死体で見つかり、母娘とみられる3人も刺されて死亡した。
捜査関係者によると、男は2005年に来日。横浜市や埼玉県鴻巣市、同県所沢市、群馬県伊勢崎市などを転々と移り住み、現在は住所不定だったという。〔共同〕