【フランクフルト=加藤貴行】独化学大手のランクセスとサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコは22日、合成ゴムの折半出資会社を設立すると発表した。ランクセスはタイヤ原料などに使う合成ゴム業界の首位で、アラムコは原油生産量の世界首位。アラムコは原油安のなかで高付加価値分野にシフトし、中期的な成長が見込めるタイヤ需要などを取り込む。ランクセスは原料調達力を高める利点がある。
ランクセスが本体から分離・新設する合成ゴム部門に、アラムコが12億ユーロ(約1600億円)を出資し株式の50%を握る。当局の認可を経て、2016年前半の手続き完了を見込む。
新会社の売上高は約30億ユーロでオランダに本社を置く。9カ国に20工場を展開しタイヤやホース、ベルトなどに使う合成ゴムを生産する。出資する企業と連携し、化学品のバリューチェーン(価値の連鎖)の最上流である原油から、下流の合成ゴムまでカバーできるユニークな企業が誕生する。
ランクセスは近年、主力の合成ゴムの収益低迷で苦しんでいた。14年に独医薬・化学大手メルクの最高財務責任者(CFO)だったマティアス・ツァハト氏が社長に就任し、今年8月には合成ゴム部門の分離を表明。他社と提携させる方針を示していた。