東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う除染で出た汚染土壌などの廃棄物を巡り、福島県南相馬市が廃棄物の一時保管のため民有地を借りて整備した「仮置き場」の一部を地権者に返還し、代替地を確保する調整を進めていることが23日、分かった。契約期間の3年を超える延長使用について、地権者の理解を得ることが困難なためで、仮置き場の土地の返還が明らかになるのは初めて。
国は除染で出た廃棄物を30年間保管するため、第1原発周辺の同県双葉、大熊両町に中間貯蔵施設の建設を予定しているが、用地取得が難航。当初、施設ができるまでの間、廃棄物は県内各地の仮置き場で3年程度保管すると説明していたが、中間貯蔵施設への本格的な搬入の見通しは立っていない。
避難指示区域内の仮置き場は国が整備する一方、区域外では市町村が担当。各地の仮置き場で契約更新の時期を迎えつつある中、同様のケースが続けば国の計画が立ち行かなくなる恐れがある。
南相馬市の関係者によると、返還するのは同市原町区の馬場地区にある仮置き場。10ヘクタールほどの広さに6万袋を超える廃棄物が保管されており、来春に地権者への返還期限を迎える。返還後は震災前に計画され、延期となっていた農地整備が行われる予定だという。
環境省によると、福島県内の国直轄除染地域の仮置き場は7月末時点で240カ所。県によると、6月末時点で全域が国直轄となっている7町村を除く仮置き場は833カ所あり、除染が実施された住宅や学校など現場に保管されているケースは11万カ所を超える。〔共同〕