東京電力福島第一原発事故の影響で、6年間を仮の学舎(まなびや)で過ごした児童たちが23日、卒業を迎え元気に巣立った。
福島県南相馬市小高(おだか)区の小高、福浦、金房(かなぶさ)、鳩原(はつぱら)の四つの小学校(児童数計94人)は、原発から20キロ圏内にある。今回卒業した4校の6年生たち29人が小学生になったのは、2011年4月。原発事故で避難指示が出た直後の混乱の中、4校は原発から離れた同市内の別の小学校にそれぞれ移った。
その後、児童たちは市内で避難先の学校や教室を転々とし13年4月から、市北部の鹿島中グラウンドに建つプレハブ校舎に同居。まとまった学校運営のため16年4月から、4校の児童が学年ごとに同じ教室で学ぶようになった。学校名は違うが、みな同級生だ。
「自分の育った地域の学校に通いたかった」と話す小高小の大楽(だいらく)真人さん(12)は「普通の学校生活じゃなかったので初めは不安だった」と振り返る。「けれど、仲間が増えるにつれて楽しくなった」
同区の避難指示は昨年7月に解除された。4校は、今年4月から小高小の本校舎に移り、避難指示が解除されて初めての新入生4人を迎える。卒業生のうち12人は、小高区に戻る中学校に進学する。17人は、区外の自宅に近い中学校などへ進む。それぞれが新しい出発の春を迎える。(写真・文 福留庸友)