座談会で特別国会を振り返る(右から)藤原慎一、中崎太郎、笹川翔平、山岸一生の各記者=6日、東京・永田町の国会記者会館、東岡徹撮影
特別国会が閉会した。質問時間の配分による与野党の対立で幕を開け、森友学園への国有地売却問題、加計(かけ)学園の獣医学部新設問題が焦点になった。安倍晋三首相の答弁姿勢や分裂した野党の対応も問われた。取材を担当した記者が振り返った。
ファクトチェック
――質問時間をめぐって与野党が激しく対立した。国政全般を議論する衆院予算委員会では、これまで「与党2対野党8」の割合だったが、与党は「5対5」を提案。14時間の審議を与党5時間、野党9時間とすることで折り合った。
笹川 特別国会召集直前の10月27日、自民党の若手議員が「自分たちも質問したい」と国会対策委員長に配分見直しを申し入れた。同じ日に首相と会った側近の萩生田光一幹事長代行は、時間配分見直しに首相も同意したと記者団に説明し、菅義偉官房長官も記者会見で歩調を合わせた。事前に相当すりあわせをしていたように感じた。
藤原 申し入れは自民党衆院議員の「当選2、3回生一同」としているが、取材したところ、事後に知ったという若手も複数いた。少なくとも「一同」ではなかったし、急ごしらえで不自然な印象を受けた。
そもそも若手が「質問時間を増やせ」というなら、安倍首相が野党の臨時国会召集要求に衆院解散で応じたことを批判し、「国会をもっと開け」と要求することが筋ではないか。
――野党はどうだったのか。
中崎 立憲民主党の幹部は当初、「2対8」を踏襲するよう求めたが、結果的には与党に譲った。「森友・加計学園」問題の追及という、野党としての見せ場がある国会で、質問時間の削減をのむか、審議を拒否するかの板挟みになった。予算案がなく、法案も少ない特別国会だったので、ある党幹部は「譲歩を迫る人質がなかった」と漏らしていた。
――今後はどうすべきだろうか。
山岸 政権は来年の通常国会で憲法改正を発議することを目指している。少数野党も含めた幅広い国民的な合意を作ろうとするなら、野党の発言時間を削るのは逆効果ではないか。通常国会でも与野党がいがみ合えば、熟議は期待できない。それでも数の力で推し進めるなら問題だ。
笹川 個人的にはどんなときも「2対8」というのは硬直しているし、与党の主張にも一理あると思う。ただ少なくとも、予算委で見られたような政権を持ち上げる質問ばかりでは、配分見直しについて国民の理解は得られないだろう。
■首相の森友答弁、丁寧と言いが…