名産黒酢の秋の仕込みが、鹿児島県霧島市で最盛期を迎えた。鹿児島湾を見下ろす高台につぼを並べて発酵、熟成させる製法で、江戸時代から200年以上続くという。辺りには甘酸っぱい香りが漂っている。
老舗「坂元醸造」では高さ約60センチ、54リットル入る陶製のつぼ計約5万2千本が高台の10カ所に並ぶ。職人が4人一組で作業。米こうじと蒸し米を入れ、畑からくみ上げた地下水で満たした後、再びこうじを振りまいてふたをする。1年半以上かけて発酵、熟成させ、琥珀(こはく)色で風味の良い黒酢が出来上がる。
醸造技師長の蔵元忠明さん(63)は「子育てのように、日々変化するつぼの中の『顔色』を見て、つくりあげたい」と話した。秋の仕込みは10月末まで続く。〔共同〕