幸壬学さん=昨年12月、長野市
スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒(31)は夏場、自転車で足腰を強化した。サポートしたのは、京都の自転車関連会社。オリジナルの自転車、強めたい筋肉に合わせた練習メニューが、最高の結果につながった。
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平昌から700キロ。京都市伏見区の事務所で、自転車製造販売会社長の幸壬(こうじん)学さん(52)はテレビで小平の疾走を見届けた。「奈緒はほんとうにすごい」
足腰の強化のため、夏場に自転車練習するスケート選手は多い。幸壬さんは2010年バンクーバー大会後、自ら申し出て小平を支援するようになった。車に自転車を積み、4時間かけて長野県の小平の練習拠点に通った。
身長や体重、太もも周りなどのデータをもとに、小平に合う自転車をつくった。強化したい筋肉の部位を狙って、座りこぎ、立ちこぎ、登坂などの練習メニューを立てた。
練習を通じて見えたのは、24時間スケートを考える小平の一途さ、まじめさだ。一緒に食事をしても酒は飲まず、話すのはトレーニングのことばかり。自転車関係の費用を負担する幸壬さんは「支えてあげようという気になる魅力がある」と言う。
14年のソチ大会後、小平は拠点をオランダに移した。2年後に帰国すると、小平は京都まで訪ねて来た。「幸壬さんと平昌まで一緒にトレーニングしたい」。ソチまでで役割が終わったと思っていた幸壬さんは「後悔したくないので、言いたいことを言わせてもらう」と応じた。
そこから2年間。「夏場に取り組んだ短距離のダッシュやスマートに体を動かすことが、今回の好タイムにつながった。格好良く言えば『想定内』だが、結果を出した奈緒はすごい」(高浜行人)