大阪市東住吉区で1995年、女児(当時11)が死亡した火災で、大阪高裁が23日に再審開始と刑の執行停止を認めた母親ら元被告2人について、同高裁(中谷雄二郎裁判長)は26日、刑の執行停止決定に対する検察側の異議申し立てを棄却し、再び釈放を認めた。
検察側は特別抗告し最高裁の判断を仰げるが、執行停止の開始時間は同日午後2時に迫っており、2人は逮捕から20年ぶりに釈放される見通しとなった。
2人は殺人罪などで無期懲役が確定した女児の母親、青木恵子元被告(51)と当時内縁の夫だった朴龍晧元被告(49)。それぞれ和歌山刑務所と大分刑務所で服役している。
23日の大阪高裁決定は火災原因について「車庫の車の給油口からガソリンが漏れて自然発火した可能性は具体的で現実性がある」と指摘。「放火殺人を認めた朴元被告の自白に高い信用性は認められない」として、2012年3月の大阪地裁決定を支持、再審開始を再び認めた。
刑の執行停止についても、大阪高裁は「無罪を言い渡すべき蓋然性が高くなっており、刑の執行を今後も継続することは正義に反する」として、今月26日午後2時で停止するとした。検察側が異議申し立てしたため、高裁の別の部が釈放の可否を検討していた。
火災が発生したのは95年7月22日。2人は同年9月10日、保険金目的で自宅に放火し女児を殺害したとして、大阪府警に殺人と現住建造物等放火の疑いで逮捕され、その後起訴された。06年に最高裁で無期懲役が確定した。
12年3月の大阪地裁の再審開始決定後にも、同地裁はいったん2人の刑を執行停止する決定を出したが、大阪高裁が検察側の抗告を認めて取り消し、最高裁もこれを支持して釈放は認められなかった。