三菱地所(8802)は30日、2016年3月期の連結純利益が前期比2%増の750億円と従来の減益予想(同5%減の700億円)から一転、増益見通しになる。賃貸物件の賃料が増えるほか、物件の売却益が当初見込みを上回るため。国内で展開するアウトレットモールでも訪日客増加の効果も取り込めるとみている。
売上高にあたる営業収益は同10%減の1兆30億円と従来予想より80億円上方修正した。営業利益は同4%減の1500億円。従来は1350億円だった。経常利益も従来を120億円上回り、同6%減の1250億円を見込む。
併せて開示した15年4~9月期の連結純利益は前年同期比5%増の562億円、営業利益は同26%増の837億円、経常利益は同32%増の750億円とそれぞれ過去最高を更新した。オフィスなどで空室率が低下しているほか、東京・丸の内を中心に賃料の増額改定が進む。
同日開いた決算会見で大草透取締役は旭化成建材によるくい工事のデータ改ざんについて問われ、「過去に手がけた物件でみつかった旭化成建材の施工事例については、できるだけ早く管理組合に伝えている」と言及。菱地所がグループで手がけている80件程度のマンションでは旭化成建材施工の事例がないため、「マンション販売などでは目立った影響が出ておらず、下期業績の悪化要因としてはみていない」とした。〔日経QUICKニュース(NQN)〕