【ソウル=小倉健太郎】韓国の金泳三元大統領が22日未明、ソウル市内の病院で療養中に死去した。87歳だった。1993年から5年間、文民政権を率い、軍事政権に終止符をうった。軍改革のほか、他人名義での金融取引を禁止する金融実名制導入など不正・腐敗の追放にも取り組んだ。
釜山に近い慶尚南道・巨済島で生まれた。ソウル大哲学科を卒業し、54年に国会議員当選。民主化運動を主導した。80~90年代には後に大統領に就いた金大中氏、朴正熙元大統領の側近だった金鍾泌氏と激しい政治闘争を繰り広げ「三金時代」と呼ばれた。各氏が基盤とした出身地域間の対立感情は今でも残る。
大統領就任後は「歴史立て直し」を掲げ全斗煥氏、盧泰愚氏ら歴代大統領を逮捕して過去のクーデターなどの責任を追及した。政権末期の97年にアジア通貨危機が発生。次男らの逮捕もあり、失意の中で退陣した。初の南北首脳会談も計画したが北朝鮮の金日成主席の急死で実現しなかった。
在任中は歴史や領土を巡り日本に厳しい発言も多かったが、2002年には早大特命教授に就任した。