大阪市が庁舎内にあった職員組合の事務所の退去を求めた問題で、中央労働委員会は26日、事務所使用を認めなかったのは不当労働行為に当たると認定し、市に対し「このような行為は繰り返さない」とする誓約文を組合側に渡すよう命じた。昨年2月の大阪府労委の決定を維持した。
市側は組合側が政治活動をする恐れがあったと主張していたが、中労委は「橋下徹市長が、自らに対立する政治活動を問題視したことを主な理由に主導したもので、合理性はない」と指摘した。
市は「内容を精査し対応を検討する」と発表したが、担当者によると、命令を受け入れる方針で、組合側から事務所使用の申し入れがあれば協議に応じるという。
中労委の命令書によると、市は2012年1月、大阪市労働組合連合会(市労連)や大阪市役所労働組合(市労組)などに対し、同年3月までに庁舎地下1階の事務所から退去するよう通告。市労組以外は退去した。
府労委の決定を受けて、市と市労組がそれぞれ中労委に再審査を申し立てていた。
市労連が所属する自治労大阪府本部の山口勝己副執行委員長は「市は正常な労使関係を整えてもらいたい。新市長が対話の姿勢を持つのであれば期待したい」と話した。市労組は「事務所使用について真摯な態度での協議を求めたい」とした。