前線を伴った低気圧が発達しながら移動する影響で、11日に南西諸島から西日本や東日本の太平洋側を中心に大気の状態が非常に不安定になっている。大雨になる恐れがあるとして、気象庁は土砂災害や河川の氾濫、低地への浸水などに警戒を呼びかけた。
倒壊した「神戸ルミナリエ」関連の電飾(11日午前、神戸市中央区)
悪天候の影響で関東ではJR東海道線や総武線などに遅れが生じ、内房線が一部区間で運転を見合わせ、外房線の特急の一部が運休した。
神戸市中央区では、阪神大震災の犠牲者を追悼するための光の祭典「神戸ルミナリエ」関連の電飾が倒れているのが見つかった。強風が原因とみられ、けが人はいなかった。神戸ルミナリエは13日までの予定で主催者が今後の対応を検討する。
和歌山市湊の紀の川の河口付近では午前3時15分ごろ、山口県防府市のコンテナ船「つるみ」(499トン)が、強風にあおられて消波ブロックに乗り上げ、複数のコンテナが流出した。乗組員5人にけがはなく、約4時間半後にヘリコプターで救助された。和歌山海上保安部によると、乗組員は「いかりを下ろしたが、強風で流された」と説明しているという。
気象庁によると、低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定になり、局地的に1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨の降るところがある。落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要になる。
11日の1時間降水量は、高知県香美市で未明にこの地点の観測史上最高となる86.5ミリを記録。兵庫県洲本市でも67.5ミリ、三重県尾鷲市で67.0ミリ、徳島県三好市で65.5ミリなど、12月としての記録を更新する地点も相次いだ。
また、暖かい空気が流入した影響で、朝から気温が上昇。和歌山市や徳島県美波町などで23度以上を記録するなど、各地で20度を超えた。予想最高気温も大阪で23度、東京や名古屋で22度などとなっている。〔共同〕