このほど来日したスウェーデンのダンベリ企業・イノベーション相は、シリア内戦を受けて同国などから欧州連合(EU)への難民が増えていることに関連して「長期的には経済に恩恵がある」と述べた。難民に語学教育や職業訓練などを提供して就業や起業を促し、スウェーデン経済の成長につなげる考えを披露した。
ダンベリ氏は人口1000万人弱の同国に最近まで毎月数万人の難民が押し寄せていた状況については「とても対処できる状況ではない」として、東欧などほかのEU諸国にも難民受け入れを求めた。英BBCによると、15年末までに19万人の難民がスウェーデンに到着したもようで、難民や移民の受け入れに寛容な同国でも短期的には難しい問題であることを認めた。
そのうえで、ダンベリ氏は「スウェーデンは難民や移民の受け入れで多様性を作り出すことで国の強さを生み出してきた」と述べて、長期的には同国経済にプラスの影響を与えると訴えた。難民や移民の教育や住居などにかかる支出については「いい投資だ」と主張した。
特にスウェーデンに到着したシリア難民の3割程度が大学などの高等教育を受けていると指摘。「こうした難民が持つ能力を開花させれば、労働力として活用できる」と述べた。
日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉については「2016年になるべく早く合意することを望んでいる」と話した。関税の引き下げや撤廃では双方の主張にほとんど隔たりはなく問題ないとしたが、残された課題として「工業標準や投資、非関税障壁」を挙げた。