【ワシントン=長沼亜紀】27日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は次の通り。
前回(2015年)12月のFOMC会合後に得た情報によると、労働市場の状況は一段と改善したが、米経済の成長は昨年終盤に減速した。家計支出と民間設備投資はここ数カ月緩やかなペースで増え続けており、住宅市場は一段と改善した。一方、純輸出は弱いままで在庫投資は減速した。力強い就業など労働市場に関する一連の指標は、労働資源の未活用の状況がさらにいくらか減少したことを示している。
物価上昇率は、エネルギー価格の低下とエネルギー以外の輸入価格の低下の影響もあり、FOMCの長期目標である2%を下回る水準で推移している。市場で測定したインフレ率はさらに低下した。アンケート調査による測定では、長期のインフレ予想はこの数カ月全般的にほとんど変わっていない。
法律で定められた使命を達成するため、FOMCは雇用の最大化と物価安定の実現に努める。FOMCは現在のところ、金融政策スタンスの緩やかな調整によって経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場関連の指標も引き続き力強さを増すと予測している。物価上昇率は、エネルギー価格のさらなる下落もあり、短期的に低くとどまるが、エネルギー価格・輸入物価の低下による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増すにつれ、中期的に2%に向かって上昇していくと予測している。FOMCは、世界経済と金融市場の動向を注視し、それが労働市場や物価、経済見通しへのリスク・バランスに及ぼす影響を評価する。
FOMCは、このような経済見通しを考慮し、フェデラルファンド(FF)の誘導目標レンジを0.25~0.50%に据え置くことを決定した。緩和的な金融政策は維持し、労働市場の一層の改善と物価上昇率の2%への回帰を支える。
FF金利の誘導目標を調整する今後の時期と規模を判断するにあたっては、FOMCは雇用の最大化と物価上昇率2%という目標に対する経済情勢の現状と見通しを評価していく。労働市場の状況を示す指標や、インフレ圧力・インフレ予測の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。物価上昇率が現時点で2%に届いていないことから、目標に向けての実際の進捗と今後の予測を注意深く観察する。FOMCは、経済情勢はFF金利の緩やかな引き上げのみを許すようなかたちで進むと予測している。FF金利は当面、FOMCが長期的に通常とみる水準以下に維持される可能性が高い。ただし、実際のFF金利の上がり方は、データが伝える経済見通し次第だ。
米機関債と住宅ローン担保証券の償還した元本を住宅ローン担保証券に再投資し、保有国債の償還金を入札で再投資する既存の政策は維持する。FF金利が通常の水準に戻り軌道に乗るまで、この政策を維持すると見込んでいる。米連邦準備理事会(FRB)が非常に大きな額の長期証券を保有し続けるこの政策は、金融緩和状態を維持するのに役立つはずだ。
決定は(FOMCの)イエレン議長及びダドリー副議長を含む10人のメンバー全員の賛成による。