脳から信号を受け取る電極を腕に巻いた男性=米オハイオ州立大提供
脊髄(せきずい)損傷で手足にまひがある人の脳にコンピューターチップを埋め込み、指令を読み取って腕の神経に伝えることで、思い通りに手の指を動かすことができるようになったと、米オハイオ州立大学などの研究チームが14日、英科学誌ネイチャー電子版で発表した。
研究に協力したのは24歳の男性。6年前に交通事故で脊髄を損傷し、脳からの指令が腕の筋肉まで届かなくなった。
研究チームは、運動をつかさどる脳の領域に埋め込むことで、腕を動かす信号を読み取るチップを開発。信号をコンピューターを介して、ひじから手首にかけてつけた130個の電極に伝え、筋肉を刺激する仕組みをつくった。
2年前に同様の仕組みでこの男性は手を握ることができたが、今回はさらに、手の指を1本ずつ動かすことや、手首を動かせるようになった。びんをつかんで中身を別の容器に移すこともできたとしている。
男性は「将来に対して希望が持てるようになった」と語っているという。(瀬川茂子)