国内最大の指定暴力団山口組(本部・神戸市)から分裂した神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)が15日、暴力団対策法の規制対象となる指定暴力団に指定された。兵庫県公安委員会が同日付の官報に公示した。効力は3年間で、指定は22団体目。警察当局は両組織の抗争に対し、暴対法に基づく取り締まりができるようになった。
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昨年8月末の分裂以降、両組織の傘下団体が絡む事件が各地で相次ぎ、警察庁は3月7日に対立抗争状態にあると認定した。指定後も事件が続けば、指定暴力団同士の対立抗争となり、暴対法に基づく組事務所の使用制限命令が出せる。
報復による発砲や車の突入、凶器を用いた組員同士の暴行事件などが起きたとき、関与が判明した双方の傘下団体の組事務所の使用を制限することが想定される。指示が確認できれば、上部団体の組事務所も対象となる。
制限には、各都道府県警が仮命令を出し、組事務所を封鎖▽組側への意見聴取▽各公安委が3カ月間の使用を制限する本命令を出す――の手続きがとられる。期間は何度でも延長できる。
市民らに重大な危害が加えられるおそれがある場合は、より強い規制対象となる「特定抗争指定暴力団」への指定が検討される。各都道府県の公安委が決める警戒区域内の事務所に出入りしたり、おおむね5人以上の組員が集まったりするだけで即逮捕できる。
福岡県内に本部を置く指定暴力団道仁会と九州誠道会(現・浪川会)の対立抗争では、組員と間違って射殺された市民を含めて14人の死者が出た。福岡、佐賀、長崎、熊本の4県公安委は2012年、両組織を初めて特定抗争指定暴力団に指定。指定期間は3カ月で、14年の解除まで5回延長した。兵庫県警の捜査幹部は「市民生活を守ることを一番に考え、特定抗争への指定も検討していく」と話す。