(15日、ソフトバンク3―2楽天)
ヒーローインタビューで、あふれる涙を止めることができなかった。前夜、隣県の熊本で激しい地震が発生。九州に本拠を置くソフトバンクの主将として、内川は「僕らは野球選手だから、野球で元気づけることしかできない」。5日前に熊本市で試合をしたことが、被災地への思いを一層熱くさせた。
奮い立つ心を結果に変えたのは、四回だ。1死一、二塁で打席に入ると、楽天・則本の初球をとらえた。132キロの落ちきらないフォークにバットを合わせる。「練習でも経験がないほどの当たり。うそだろ、と思った」。打球は左中間スタンドに一直線。今季2号の決勝3ランの手応えを「納得の1打席」と振り返った。
前夜は、福岡市内の自宅で熊本の様子を伝えるニュースを見つめた。1人の娘を持つ親として、映像が胸に迫る。「子どもを抱えながら避難する人の姿や、生きようと一生懸命な人の姿を見ると、自分は何ができるだろうか、と」。自身も大分市出身とあって、九州の試合ではどこに行っても大声援の追い風を受ける。だから、「九州全体に応援してもらっていると思っている」。
熊本に届ける豪快な一発。「野球どころじゃない人が多いと思う」としたうえで、「野球を見ている間だけ、少しでも被災地の方の気持ちが軽くなれば」。目を真っ赤にしながら、何度も繰り返した。(吉永岳央)
○工藤監督(ソ) 熊本地震について問われ、「九州のチームだという自負がある。今日は絶対に勝ちたかった」。
○東浜(ソ) 5回2失点で今季初勝利。「点を取ってもらった後、(五回に)すぐ失点したのが悔やまれます」