クレジットの注意点
新生活で新たにクレジットカードを持ち始めた人もいるでしょう。買い物には便利ですが、よく理解して使わないと返済額が膨らんでしまうことも。注意点をまとめました。
クレジットカードは、カード会社が申し込んだ人の年収やカード利用履歴などを審査し、発行の可否や利用限度額を決める。
カードの利点は、現金を持たずに買い物ができること。海外への旅行、出張の際は両替をせずに済む。また、海外旅行傷害保険などの保険がつくカードも。キャッシング機能があれば必要な時に現金を借りられる。
支払い方法は大きく分けて「一括払い」「ボーナス一括払い」「分割払い」「リボルビング払い(リボ払い)」がある。 初心者にとってわかりづらいのはリボ払いだ。月々、一定額もしくは支払い残高に応じた一定割合の額を支払っていく。一般的に3回以上の分割払いやリボ払いは、返済時に「手数料」がかかる。手数料は、支払い残高にカード会社が定める「実質年率」をかけて計算する。
リボ払いの支払い例を、ファイナンシャルプランナーの上級資格(CFP)を持つ荻野嘉彦さんに作ってもらった。買い物を重ねても毎月の支払額はほぼ変わらないが、支払期間が延び、そのぶん手数料がかかる。リボ払いの手数料の実質年率は、通常の分割払いより高いことが多い。
リボ払い専用のカードや、申込時にリボ払いが初期設定になっているカードもあるため、しっかり確かめよう。リボ払いの途中で残金を繰り上げ返済することもできる。
無計画な利用は禁物だ。多重債務者の相談を受ける、公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会の尾川尚子さんに相談事例を聞いた。
29歳の女性は、洋服購入やオンラインゲームの課金でカードを利用。月収は18万円で、返済金をキャッシングで工面することも。カード2枚の支払い残高が約120万円にのぼった時点で返済が苦しくなり、同協会に相談。うち70万円はリボ払いだが、契約内容を理解しておらず「支払いがいつ終わるか先が見えない」と話していたという。
尾川さんは「身の丈にあった利用額に収め、支払いの仕組みや手数料などを理解した上で利用して」。使いすぎを防ぐには、利用限度額を下げたいとカード会社に申し出るのも手だ。
カードの利用履歴は「信用情報機関」に登録される。支払いが滞った記録があると、新たにカードが作れなくなったり、住宅ローンや車のローンの審査が通らなくなったりする可能性もあるので注意が必要だ。
借金に悩む人につけ込む「ショッピング枠の現金化」も問題となっている。たとえば、悪徳業者がほとんど価値がないCD―ROMなどを利用者にカードで購入させ、高額代金の何割かをキャッシュバックする。だが、結局負債が増えるだけ。カードの規約違反にもなる。(坂井浩和)
■履歴は本人が確認可能
信用情報機関の一つ「シー・アイ・シー」は、クレジットやキャッシングの利用履歴を利用者本人に開示。過去の支払い延滞の有無などを確認できる。クレジットの審査が下りない時などに確かめてみるのもいいだろう。全国7カ所の窓口やインターネット、郵送のほか、携帯電話やスマートフォンでも確認可能。手数料は500~1千円。問い合わせは0570・666414まで。
■1人あたり約2.5枚
日本クレジット協会によると、クレジットカードの発行枚数は2015年3月末時点で2億5890万枚。20歳以上の人口でわると、1人あたり約2.5枚持つ計算だ。
■利用法などを学ぶには
日本FP協会のサイト(