(17日、巨人2―1広島)
結果は、神のみぞ知る。試合に向けた準備を尽くしたいま、巨人の村田はそう思えるようになった。
だから迷いはない。同点の八回1死三塁。狙いは一つ。「まっすぐに振り負けないこと」。初球の外角直球を振り抜くと、鋭いライナーは中前へ。小さく拳を握りながら一塁へ走った。
35歳はもがいていた。本塁打王を2度獲得した右の長距離打者だが、昨季は打率2割3分6厘、12本塁打と低迷。レギュラーは白紙になり、キャンプから高卒2年目の岡本と三塁の定位置を争った。オープン戦は出場の機会が減り、「代打に向けて調整や考え方を変えないといけない」と漏らしたこともあった。
悩んで行き着いたのは、「初心に戻ること」。今季第1号を放った前日の試合直後。大粒の汗をかきながらベンチ裏で素振りを繰り返していた。対戦した投手を想像しながら、納得するまで振る。「どうやって打ったとか抑えられたとか、毎日確認している」。試合前は、相手投手をイメージしながら。2011年まで在籍した横浜時代にやっていた練習を再び始めた。
「試合に臨むまでの過程が大事だとわかった。試合に出られる喜びを感じている」。5試合連続安打。勝負強さも戻ってきた。
地震で熊本市に住む親戚の家が半壊した。福岡出身の九州男児は、誓った。「とにかく全力でグラウンドを駆け回る。僕にできることはそれしかない」(山口裕起)
○高橋監督(巨) 「チャンスが少ない中で、村田が一振りで結果を出してくれた。さすがベテランですね」
○片岡(巨) 今季1号。「打てない時もみんなが応援してくれてうれしかった。まさか入るとは思わなかった」