裁判員裁判が開かれた東京地裁
■きょうも傍聴席にいます。
身長は190センチを超え、体重約130キロ。格闘技や空手の経験もある男から母の面前で約30分にわたり暴行を受け、3歳の男児が命を落とした。男は母子の家に2週間前から居座っていた。なぜ、こんな悲劇が起きたのか。
「きょうも傍聴席にいます。」
9月4日、両脇の刑務官より頭一つ大きい被告の男(21)が東京地裁に出廷した。東京都大田区の男児(当時3)を虐待死させたとして、傷害致死の罪に問われた裁判員裁判の初公判。被告は、起訴内容のうち、暴行の具体的内容を一部否定したが、男児を虐待死させたことは認めた。
起訴状によると、被告は昨年1月25日夜、同区内の料理店勤務の女性宅で、女性の長男の男児に暴行を加え、同27日深夜に死亡させたとされる。
公判から事件の経緯をたどる。
被告は2015年夏ごろ、SNSを通じて料理店勤務の女性と知り合い、ほどなく女性宅で1週間ほどを過ごした。その後、互いの連絡は途絶えた。
16年1月初旬、被告は「今から会えないか」と数カ月ぶりに女性に連絡。泊めて欲しいと頼んだ。被告は2人暮らしの母から仕事に行かないことを責められて口論となり家出。行く当てがなかったという。最初は「3日間」という約束で泊めてもらうことになった。だが、被告は3日が過ぎても女性宅から出て行かなかった。
女性「最初は大目に見ていましたが、日が過ぎても家に居座っている状態でした。『何で家に帰らないのか』と言ったら、言い訳を言われ、強く言うと怒鳴られ、どうしたらよいかと思っていました」
女性は証人として法廷に立ち、こう説明した。被告は交際相手ではない、とも話した。
居候を決め込んだ被告は女性宅で何をしていたのか。
弁護側の被告人質問。
弁護人「(女性宅で)どう過ごしたのですか」
被告「ご飯を作ったり、洗濯したり、男児の遊び相手になりました」
弁護人「遊び相手になる以外にしたことはありますか」
被告「お風呂にいれました」
弁護人「頻度は?」
被告「毎日です」
弁護人「どう感じましたか」
被告「ご飯の食べ方を母親(女性)が教えていないと思いました」
弁護人「そうした様子を見て、男児への気持ちはどうだったのですか」
被告「小さな頃の自分とよく似ていると思いました」
弁護人「男児にどういうことを…