熊本地震の主な被害
熊本県などでの一連の地震で、車中泊をして避難していた女性1人が、肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で亡くなっていたことがわかった。ほかにも症状を訴える人が出ている。19日午後1時半現在、県内約640カ所に約9万5千人が避難しており、県は20日から、保健師らの巡回で、エコノミークラス症候群対策を強化する。同県南阿蘇村の土砂崩れ現場では19日、3人が心肺停止状態で見つかり、いずれも死亡が確認された。地震による死者は計47人になった。
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息苦しさや胸の痛みなどのエコノミークラス症候群の症状を訴えた人は熊本市内の5病院で少なくとも18人。国立病院機構熊本医療センター(熊本市)に搬送された女性(51)が死亡。ほかの病院でも集中治療室で手当てを受けたり、入院したりしている人がいるという。県は19日、避難者のエコノミークラス症候群対策として、県外の保健師らが避難所の駐車車両などを20日から重点的に回り、健康チェックを行う方針を示した。
県内では19日、安否が確認できていない人の捜索が続いた。18日夜に死亡が確認された香川県の鳥居敬規(たかのり)さん(42)が見つかった同村長野の「ログ山荘火の鳥」付近では、鳥居さんとともに同山荘に宿泊していた妻の捜索が続けられ、19日午後5時過ぎ、心肺停止状態の女性1人が見つかり、死亡が確認された。鳥居さんの妻の可能性があるとみて、熊本県警が身元を調べている。
また、住宅6棟が土砂に埋まるなどした同村河陽(かわよう)の高野台地区では、19日午後に男性1人が見つかり、死亡が確認された。同日朝に見つかり、死亡が確認された女性は同村河陽、牧野富美さん(46)とわかった。
また、県警は亡くなった人のうち、身元が分かっていなかった2人について、同村河陽の葛城勲さん(75)と妻洋子さん(72)と確認されたと明らかにした。19日午後11時現在、高野台地区では3人の安否が分かっていない。
一方、土砂災害で崩落した同村の阿蘇大橋付近では、阿蘇市に住む熊本学園大4年の大和晃(やまとひかる)さん(22)が車で通りかかって巻き込まれた可能性があるが、現場は被害が激しく、捜索のめどは立っていない。国土交通省は19日、崩落現場をヘリコプターで上空から確認。陸上自衛隊の広報担当者は「捜索に参加する警察や消防とも協議し、判断する必要がある」と話した。
県内のライフラインでは、20日午前0時現在、阿蘇地区の約5900戸が停電しているが、九州電力は20日中に復旧できるとの見通し。水道は約10万戸で断水し、西部ガスは約10万5千戸で都市ガスの供給を停止している。