土砂降りの中、仮設トイレの順番を待つ被災者たち=21日午前、熊本県益城町、中村靖三郎撮影
汚い、暗い、狭い、段差あり――。過去の大地震で課題が指摘されてきた避難所のトイレ環境が、熊本地震の被災地でも心配されている。排泄(はいせつ)は我慢すると生死にもかかわりかねない。専門家は「困り事の情報を共有し、快適・安全に利用できる環境作りを」と呼びかける。
約850人が身を寄せる熊本県益城町の総合体育館。屋内のトイレは断水などでほとんど使えず、屋外に仮設トイレがずらりと並ぶ。だが、今も男女の区別がない。介護職員の女性(36)は「ぜいたくは言っていられないけれど、臭いもきつく、衛生面も心配です」。ボランティアらによる掃除で環境改善に努めるが、大勢が使うのですぐに汚れてしまう。
約50のうち、座って使える洋式トイレは二つほど。「足が悪いけん。もっと洋式があると助かるが……」。足を引きずりながらトイレから出てきた男性(74)はつぶやいた。
建物内のトイレを利用できる熊本市内のある避難所でも、洋式トイレは不足気味だ。混み合うのを避けて深夜に利用したり、わざわざ自宅に戻ったりする人もいる。