教科書会社が教員に検定中の教科書を見せて謝礼金を支払っていた問題で、教科書会社40社でつくる教科書協会(東京)は27日、再発防止のための自主ルールの改定案を文部科学省に提出した。特定の期間に教員らに謝礼金を支払うことを禁じる内容を新たに盛り込んだ。
新ルールでは、教員ら採択関係者に謝礼を渡すことについて、国の検定期間(約1年間)と、市町村教育委員会などが使用教科書を選ぶ採択期間(約半年)には一切してはならないと規定。それ以外の期間に、検定中でない教科書について教員らから意見を聴き、適正な対価を支払うことはできるとした。教科書づくりに現場の意見を採り入れるためだ。
文科省の規則などで禁じられている検定中教科書の外部閲覧については、改めて禁止を明記。ただ編集に携わった教員らは、検定期間中にも教科書を見る機会がある。こうした関係者はリスト化し、文科省や都道府県教委に提出することを教科書会社に義務づけた。教委側は、リストにある教員らは採択に影響を与える立場につかせないようにする。悪質な違反があった場合は、協会のホームページで公表するなどの制裁措置も規定した。
小中学校の教科書を出す22社は27日、文科省を訪問し、シェア拡大が目的と疑われるような金銭提供などを禁止する同省の通知を受け取った。違反行為は同省ホームページで公表する。馳浩文科相と面会した協会会長の鈴木一行・大修館書店社長は「信頼を回復できるよう努力したい」と陳謝。馳文科相は「公正性確保の徹底に向けて必要な対応を」と求めた。(高浜行人)