小学6年と中学3年を対象に、文部科学省が毎年4月に実施する「全国学力調査」について、同省は28日、調査前に過去の問題を授業で集中的に解かせるなど、調査の点数を上げることを主目的とした取り組みをしないよう求める通知を出した。学力を把握し、指導に生かすという本来の趣旨を踏まえるよう促した。
通知は都道府県などの教育委員会宛てで、点数を上げることだけが目的とみられかねない、行き過ぎた過去問題の使い方は「調査の趣旨・目的を損なう」と指摘。調査の趣旨への認識について、学校や教委の間で浸透を図るよう求めた。
文科省は過去問題について、子どもの理解を深める目的で、授業で練習問題として使うといった取り組みは認めている。ただ、学力調査での点数を上げることを主目的に、過去問題を使った授業を行うことには警鐘を鳴らした形だ。
過去問題を巡っては、馳浩文科相が20日の記者会見で、過去問題を使って学力調査対策をするよう教委から指示された、との情報が教員から寄せられたことを明らかにし、「各地でこれがあるなら大問題で、(学力調査の)本質を揺るがす」と問題視。文科省には、4月前後の授業で集中的に過去問題に取り組み、本来の学習が十分できないという情報も寄せられたという。
2013年には福岡県教委が一部の地域で、調査前に過去問題を解かせるよう小中学校の校長に伝えたり、過去問題集を作って学校に配ったりしたことが判明している。(高浜行人)