ANAは国際線が伸びている
公的支援で再建した日本航空の好業績が続いている。2016年3月期の営業利益は2091億円(前年比16・4%増)で過去最高だった。一方、国際線の増便が相次ぐANAホールディングスの営業利益は1364億円(同49・1%増)。大幅に伸びたが、日航との差は大きい。
売上高だけみれば、ANAは増収、日航は減収だ。ANAは昨年、羽田―シドニー、成田―ヒューストンなど国際線を積極的に増やし、国際線の旅客数で初めて日航を逆転した。日航の売上高が減ったのは、燃料価格の下落で通常の運賃に上乗せする「燃油サーチャージ」が下がったことが一因だ。
ただ、不採算の路線は経営破綻(はたん)後に整理されたこともあり、日航の座席利用率は国際線(78・8%)、国内線(67・9%)とそれぞれ3~5ポイント、ANAを上回っている。
両社の差がさらに大きいのは、最終的なもうけを示す純利益だ。支援により借金が減ったり、税金負担が軽くなったりした結果、12年3月期以降5年連続で1千億円近い差が出ている。16年3月期も、963億円の差が出た。
国土交通省は、日航への公的支援によってANAとの競争がゆがんだと認め、日航には来年3月末まで新規の就航や投資を制限している。また、発着枠の配分でもANA傘下の全日本空輸を優遇する施策を採っている。26日には、羽田空港を発着する今年10月下旬からの米国便について、全日空4、日航2と傾斜配分した。(大平要)