12回、右フックで攻める八重樫東(右)=杉本康弘撮影
(8日、プロボクシング・ダブル世界戦 IBFライトフライ級)
井上尚弥・八重樫東ともに防衛成功
八重樫東の頭の中は、極めてシンプルだった。「試合途中からどんぶり勘定になって、ポイントのことが分からなくなっていた。目の前のラウンドを取ることだけを考えた」。12回。激しい打ち合いに会場がわいた。2―1の僅差(きんさ)でつかんだ判定勝ち。「生き残った」。33歳はギリギリのところでベルトを守った。
立ち上がりで「プランが崩れた」。挑戦者の出方を見て、リズムをつかみ、自分の間合いに引き寄せてパンチを浴びせるつもりが、思うように体が動かなかった。「何が原因かは分からない。頭と体が分離しているような状態」。3回まではいずれも挑戦者にポイントを奪われた。