パドルをうまく使い、波に乗る男性=神奈川県藤沢市の片瀬東浜海岸
サーフィンが盛んな湘南(神奈川県)の海岸で、ハワイ生まれの新スポーツ「スタンドアップパドルボード(SUP〈サップ〉)」が人気を集めている。ボードの上に立ち、パドルで漕(こ)いで進む。初心者でも手軽に楽しめるのが特徴だ。ただ、サーファーとの接触事故も起きており、ルール作りが進んでいる。
4月上旬の早朝、江の島を間近に望む藤沢市の片瀬東浜海岸。男女5人がボードに乗り、ゆらりゆらりと沖合でパドルを漕いでいた。「よし、いこうか」という男性のかけ声でスピードが上がり、右へ左へ。まだ人もまばらで静かな海を自由自在に進む。
「みんなでのんびりクルージングしたり、競争したり。いろんな楽しみ方があるのがSUPなんです」。練習を終えて浜に戻ってきた鎌倉市の自営業加藤修さん(34)は笑顔を見せる。
加藤さんの趣味はもともとサーフィン。5年前に旅行先のハワイで、SUPの魅力にとりつかれた。「波や風がなければ、すぐにできる。ハワイの透き通った海でクルージングしたのが忘れられない」という。
8年前から江の島周辺でSUPの体験会を開いている「ホクア サーフ&スポーツ」(藤沢市)の伊藤えり子代表は「ここ2~3年で一気にお客さんが増えた。昨夏は予約がいっぱいだった」と語る。
日本スタンドアップパドルボード協会によると、会員数は13年が約250人、14年は500人、15年は950人と年々増加。体験人口は10万人に上るとみている。藤沢市、鎌倉市、逗子市、葉山町では、少なくとも27店がSUPのスクールを実施。そのうち8店は、ここ3年で導入していた。