愛知県一宮市の飲食店員の女性を殺害して福井県の九頭竜湖(くずりゅうこ)に死体を遺棄したほか、交際相手の女性を暴行して死なせたとして、殺人や傷害致死の罪などに問われている林圭二被告(43)の裁判員裁判の初公判が27日、名古屋地裁であった。傷害致死罪の審理から始まり、弁護側は同罪の起訴内容を否認した。
林被告は罪状認否で「弁護人に任せます」と述べた。弁護人は林被告の自宅で女性が死亡したことは事実としつつ、「林被告が『やるならいいけど自分でやれ』と言って死亡させたというには、合理的な疑いが残る」と主張した。
起訴状によると、林被告は2009年7月10日、岐阜県美濃加茂市の自宅で交際相手の浅埜江里さん(当時26)が出会い系サイトへの接続中に居眠りをしたとして、自らの首に鎖を巻かせ、さらに座ると首が絞まるよう居室のかもいに鎖をつなげさせて放置し、窒息死させたとされる。
2人は04年ごろから同居を始め、林被告は浅埜さんに骨折を負わせる暴行を繰り返したり、出会い系サイトで金を稼がせたりして、意のままに服従させていたという。
林被告はこのほか、11年11月24日、渡辺智由受刑者(38)=懲役14年の実刑確定=と共謀し、愛知県犬山市の駐車場で、飲食店員の森岡まどかさん(当時27)を絞殺し、遺体を冷凍庫に詰めて九頭竜湖に遺棄した罪にも問われており、今後、審理される。弁護側は、殺人や死体遺棄罪については認める方針。
今年4月、裁判官による区分審理が先行して開かれ、浅埜さん死亡後に口座から金を引き出したとして、林被告は窃盗罪などで有罪判決を受けた。裁判員裁判の判決は7月15日で、殺人罪などとあわせて量刑が言い渡される。