報告書を提出後、会見する三菱自動車の(左から)相川哲郎社長、益子修会長、中尾龍吾副社長=17日午後4時15分、東京・霞が関の国交省、岩下毅撮影
三菱自動車の燃費不正問題で、三菱自は17日、社内調査結果を発表した。過去10年に販売した全29車種で不正があり、データ改ざんは9車種で判明した。改ざんがあった車種について、1台あたり原則10万円や3万円の賠償金を支払う方針も明らかにした。
特集:三菱自動車の燃費偽装問題
三菱自は17日、国土交通省に調査結果を報告し、記者会見した。益子修会長は「過去10年さかのぼり全容解明した。新たに不正行為が判明し深くおわびする」と述べた。
国の燃費試験では、空気抵抗や路面の摩擦を示す「走行抵抗値」をメーカーが実走試験で測り、それを基に国が燃費を出す。これまで抵抗値について「eKワゴン」など6車種で改ざんが判明していたが、「コルト」「ギャランフォルティス」「アウトランダー」の3車種でも改ざんが確認された。
実際に計測せず、旧型車の数値などを参考に机上計算したのは計20車種だった。国が規定する測定法とは異なる違法測定は計29車種にのぼった。対象は約200万台。本社の性能実験部、認証部、子会社の「三菱自動車エンジニアリング」が関与していた。
報告書は、一連の不正の背景として、2009年のエコカー減税導入で各車種に燃費目標を設定し、開発現場の負担が増えたのに十分な人員配置がなかったと指摘。「目標達成が現場のプレッシャーとなった」と分析した。
顧客対応では、軽4車種は、燃費がカタログ値より悪い分の燃料代などとして1台あたり10万円を支払う。対象は62万台。その他の改ざんがあった5車種は対象は10万台で、おわびとして一律3万円を出す。総額は600億円を超える。国交省が正しい燃費を再測定中の4車種では、エコカー減税の基準が変わる可能性がある。不足分は全て三菱自が納入し、顧客に負担は求めないという。(伊藤嘉孝、内藤尚志)