インターネット上で本人が公開していた、オマル・マティーン容疑者の写真=ロイター
米フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブで起きた銃乱射テロで、連邦捜査局(FBI)などは20日、死亡したオマル・マティーン容疑者(29)が警察にかけた緊急電話の内容を一部公表した。それによると、「米国がシリアとイラクでの空爆をやめるべきだ」と主張したり、自分が爆弾を持っていると示唆したりしたという。
特集:銃乱射事件
FBIによると、マティーン容疑者は事件発生直後の12日午前2時35分に、クラブ内から緊急電話をかけた。約50秒間の通話で過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者に忠誠を誓っていたほか、「私がオーランドにいて、乱射事件を起こした」などと発言していた。20日はこの通話の詳細が公表されたほか、警察がその後、3回にわたって容疑者と電話で話した際の内容の一部も発表された。
音声は公開されていないが、FBIの担当者は会見で、容疑者が「ぞっとするような、冷静で意図的な様子で発言した」と説明。海外の組織から指示を受けた証拠はなく、米国内にいながら過激化したとの見方を繰り返した。動機についてはさらに捜査を進めているとしたが、容疑者が以前にもこのクラブに出入りしていたという証言などについては「捜査中」と答えるにとどまった。
FBIは当初、「被害者を尊重して」ISなどの名称を削除した形で通話録を公表した。しかし、FBIが既にISとの関連を明らかにしていたことなどから批判が集中し、FBIを所管する司法省が完全な形で公表した。(ニューヨーク=中井大助)