PK戦ではずして天を仰ぐメッシ=USAトゥデー・ロイター
早過ぎる決断。ファンの誰もが感じたのではないか。サッカーのスター選手、FWメッシ(29)がアルゼンチン代表からの引退を表明した。26日の南米選手権決勝でチリと対戦し、0―0の後のPK戦で1番手を任されてまさかの失敗。優勝を逃す流れにつながった。試合後、報道陣に「自分にとっての代表は終わった」と話した。
スペイン1部リーグでは強豪バルセロナの得点源として頼られ、華麗なドリブルで見る者を魅了。今年1月には史上最多5度目の世界最優秀選手「FIFAバロンドール」に輝いた。時代を謳歌(おうか)する希代の名手。2年後にワールドカップ(W杯)ロシア大会を控えるアルゼンチンには不可欠の存在だ。
背景はある。クラブチームでは欧州チャンピオンズリーグなど数々の栄冠を手にしてきたが、フル代表ではタイトルと無縁。2007年と昨年の南米選手権、さらに14年W杯ブラジル大会の決勝で、いずれも涙をのんだ。そのたびに地元メディアが痛烈な批判を浴びせ、メッシに大きな責任を負わせた。
南米選手権の大会中には母国サッカー協会の対応を批判し、ちょっとした騒動にもなった。重圧にさいなまれた心を、押しつぶすようなPK失敗。代表引退の表明は、一時的な感情からとみる向きもある。W杯ロシア大会の南米予選は9月再開。本当にメッシの姿は見られないのだろうか。(時事)