福岡地裁で28日にあった刑事事件の判決公判で、弁護人が開廷時刻に現れずに一度は期日が延期されたが、結局、弁護人不在のまま判決が言い渡された。この日は裁判所も仕事納め。執行猶予付きの判決を受けて被告は釈放され、拘置所での年越しを免れた。
公判は午前9時50分からで、強盗未遂などの罪に問われた女(53)に判決が言い渡される予定だった。開廷時刻になっても弁護人が現れず、地裁が電話したが連絡がつかなかった。
松村一成裁判官は「判決は来年に言い渡します」と閉廷を宣言。その40分後に再び開廷し、懲役3年執行猶予4年を言い渡した。地裁総務課によると「裁判官の判断」という。担当検事は別の公判が入っており、別の検事が出廷した。
刑事訴訟法では死刑または無期、3年超の懲役などに問われている場合、弁護人なしで開廷できないと定めている。一方で「判決宣告のために開く公判には必ずしも弁護人を要しない」とする最高裁判例がある。
開廷に間に合わなかった弁護人は判決言い渡し後に到着。取材に対し「働き過ぎで体調を崩してしまった」と恐縮していた。(菅原普)