宮城県石巻市で2010年2月、元交際相手の姉ら2人が殺害され、1人が重傷を負った事件で、最高裁第一小法廷(大谷直人裁判長)は6月29日付で、殺人罪などに問われた千葉祐太郎被告(25)の判決訂正申し立てを棄却する決定をした。この決定で、千葉被告の死刑が確定した。
元少年の死刑確定 石巻3人殺傷事件
死刑判決「予想していた」 石巻3人殺傷事件の元少年
被告は事件当時は18歳7カ月だった。少年だった被告に、裁判員裁判で言い渡された死刑判決が確定したのは初めて。事件当時に少年だった被告の死刑確定は、1999年に山口県光市で起きた母子殺害事件が2012年に確定して以来となる。
「自分が死ぬ意味を探していく。少しでも建設的な死にしたい」
被告は6月16日の最高裁判決後、数回にわたって朝日新聞の記者の面会に応じ、確定への覚悟を語っていた。
「被害者や遺族への悔いや謝罪の気持ちは変わらない。執行の日まで自分の過ちと向かいあう。投げやりな気持ちはない」。ただ、「俺自身は死ぬこと自体が償いになると思ってはいない」と話した。
10年に一審・仙台地裁の裁判員裁判のころは「死刑になりたい」と思っていたという。「逃げたい。死んで楽になりたいという気持ちだった」。それから6年、弁護士や支援者らと話し合い、罪に向き合う中で、「人を傷つけない人間になること」を課題に生きてきたという。
被告は2日に、25歳になった。「人の命を奪う事件を起こそうとした人の、抑止力になる死にしたい。澄んだ心で死にたい」(市川美亜子)